HubSpot CRM完全ガイド|機能・Kintone連携・運用体制まで、「成果」を出すための全知識
- TOKYO DIGITAL 木戸

- 2025年12月29日
- 読了時間: 10分
更新日:1月18日
「顧客管理(CRM)を導入したいが、コストが高そうで踏み出せない」 「Webマーケティングを強化したいが、ツールがバラバラで管理しきれない」 「HubSpotという名前は聞くけれど、具体的に自社に合うのかわからない」
DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる昨今、こうした悩みを抱える企業が増えています。顧客情報の管理は、今や単なる「名簿作り」ではありません。顧客との関係を深め、売上につなげるためのエンジンそのものです。
本記事では、世界中で支持されるCRMプラットフォーム「HubSpot(ハブスポット)」に焦点を当てます。なぜHubSpotが選ばれるのか、kintoneなどの他ツールとどう使い分けるべきか、そして「ツールを入れただけ」で終わらせないための運用の極意まで、徹底解説します。
1. 現代のCRMは「顧客リスト」ではない。「コミュニケーションの司令塔」である
まず認識を改めなければならないのが、「CRM(Customer Relationship Management)」の定義です。
かつてのCRMは、お客様の社名、担当者名、電話番号、住所を記録するだけの「デジタル電話帳」のようなものでした。営業担当が交換した名刺情報を入力し、年賀状や定期的な電話アプローチに使う。それがこれまでの常識でした。
しかし、現代のビジネスにおいてその程度の情報管理では競合に勝てません。
顧客体験(CX)の高度化に対応する
現代の顧客は、営業マンと会う前にすでに多くの情報を持っています。Webサイトを見て、資料をダウンロードし、メールマガジンを読み、比較サイトを調べ、チャットで質問をしてから、ようやく「問い合わせ」を行います。
現代のCRMに求められるのは、こうした「行動データ」と「属性データ」の一元管理です。
属性データ: 会社名、役職、エリアなど
行動データ: いつWebサイトを見たか、どのメールを開封したか、資料をDLしたか
これらをすべて紐付け、「今、このお客様はどんな情報を求めているか」を把握し、適切なタイミングで適切な情報を届ける。これが現代のCRMの役割であり、HubSpotが最も得意とする「コミュニケーションチャネルの統合管理」です。

2. HubSpot CRMで「まず使い倒すべき」6つの主要機能
HubSpotが選ばれる最大の理由は、「マーケティングに必要な機能が、最初からCRMに統合されている」点にあります。
多くの企業では、メール配信はA社のツール、フォーム作成はB社のツール、顧客管理はExcel……というようにツールが分断され、データが連携されていません。これでは「誰がいつ何をしたか」が見えなくなります。HubSpotなら、以下の6つの機能をワンプラットフォームで完結でき、導入したその日から「データに基づいたマーケティング」が可能になります。
① フォーム作成(Forms)
Webサイトに設置する「お問い合わせ」や「資料請求」のフォームを、ドラッグ&ドロップで簡単に作成できます。 重要なのは、フォームに入力された情報が自動的にCRMに登録される点です。手入力の手間がゼロになり、入力ミスもなくなります。さらに、「フォーム送信後に自動返信メールを送る」「営業担当に通知を飛ばす」といった連携もスムーズです。
② 共同受信ボックス(Shared Inbox)
「info@~」や「support@~」といった代表アドレス宛のメールを、チーム全員で共有・管理できます。 誰がどのメールに対応しているかが可視化されるため、「二重対応」や「返信漏れ」を防げます。また、メールのやり取りが自動的に顧客のタイムラインに記録されるため、担当者が変わっても過去の経緯を一瞬で把握できます。
③ LP(ランディングページ)や資料ダウンロードページの作成
キャンペーン用のランディングページ(LP)や、ホワイトペーパーのダウンロードページを、エンジニアやデザイナーの手を借りずに作成できます。 豊富なテンプレートがあり、直感的な操作で作れるため、マーケティングのスピード感が劇的に向上します。「思いついたらすぐ公開」ができる環境は、Webマーケティングにおいて強力な武器になります。
④ メルマガ配信(Email Marketing)
CRMの顧客リストを使って、セグメント(特定の条件)ごとにメールを配信できます。 単なる一斉配信ではなく、「先月資料をダウンロードした人だけに送る」「特定の製品ページを見た人だけに送る」といったパーソナライズが可能です。開封率やクリック率も自動で計測され、CRM上の顧客データに反映されます。
⑤ チャットボット作成(Chatflows)
Webサイト上に、24時間365日対応可能なチャットボットを設置できます。 よくある質問への自動回答や、資料請求への誘導、あるいは有人チャットへの切り替えも設定可能です。これにより、深夜や休日の機会損失を防ぐとともに、見込み客との接点を増やすことができます。
⑥ リスト管理(List Management)
これがHubSpotの真骨頂です。静的なリスト(手動で作成)だけでなく、「動的リスト(アクティブリスト)」を作成できます。 例えば、「過去30日以内にWebサイトを訪問し、かつメールを開封した人」という条件を設定すれば、該当する顧客が自動的にリストに追加・削除されます。常に鮮度の高いリストに対してアプローチができるため、マーケティングの精度が高まります。

3. 「高機能なのに安価」スモールスタートに最適な理由
「これだけの機能がついているなら、月額数十万円するのではないか?」 そう思われる方も多いでしょう。しかし、HubSpotは「安価にスタートでき、成長に合わせて拡張できる」という大きなメリットがあります。
マーケティングツールが充実しているのに、コストを抑えられる
従来のエンタープライズ向けCRM(例:Salesforceなど)は、導入時の設計構築費が高額になりがちですし、マーケティング機能を追加するには別ツール(MAツール)の契約が必要なケースが多くあります。これでは初期投資がかさみ、中小企業にはハードルが高いのが現実です。
一方、HubSpotは「CRM(顧客管理基盤)」自体は無料から使えます。そして、上記で紹介したマーケティング機能を含む有料プラン(Starterプラン等)も、月額数千円〜数万円程度から始められます。 中小企業や、初めて本格的なマーケティングに取り組む部署にとって、「必要十分な機能」がパッケージ化されており、かつ低コストで導入できる点は非常に大きな魅力です。
投資対効果(ROI)が出しやすい
初期費用を抑えられるということは、それだけ早く投資回収ができるということです。 まずは安価なプランで「フォーム設置」や「メール配信」から始め、成果(リード獲得数の増加など)が見えてきたら、自動化(ワークフロー)機能などが使える上位プランへアップグレードする、という段階的な投資が可能です。
4. 「HubSpot × Kintone」という賢い選択肢|業務領域の最適化
HubSpotは非常に優秀なツールですが、万能ではありません。 特に日本企業特有の細かい業務プロセス管理や、日報、交通費精算、在庫管理といった「バックオフィス業務全般」までをHubSpotだけで構築しようとすると、無理が生じることがあります。HubSpotはあくまで「CRM・マーケティング・セールス・カスタマーサクセス」に特化したグローバルツールだからです。
そこで推奨されるのが、「HubSpot」と「Kintone(キントーン)」の併用です。
それぞれの得意分野を活かす「適材適所」
kintoneは、日本の商習慣に合わせた柔軟なアプリ作成が得意です。一方、HubSpotはWebトラッキングやメールマーケティングが得意です。無理にどちらか一つに絞る必要はありません。
HubSpotの役割(攻め): Webマーケティング、リード獲得、見込み客育成、商談創出、メール配信など、顧客とのコミュニケーション全般。
Kintoneの役割(守り・管理): 受注後の案件管理、請求書発行プロセス、日報、社内申請、プロジェクト管理、在庫管理など、社内業務全般。
このように役割分担をすることで、無理やり一つのシステムに統合して使いにくくなることを防げます。
データ連携でシームレスな業務フロー
現在は、HubSpotとKintoneをノーコードで連携できるプラグインやミドルウェアが多数存在します。 例えば、「HubSpotで獲得したリードが商談化し、受注が決まったら、その顧客情報を自動でKintoneの『契約管理アプリ』に同期する」といったことが可能です。
これにより、「HubSpotのマーケティング力」と「Kintoneの業務適合力」のいいとこ取りをした、広く柔軟な業務システムを構築できます。これは、システム開発コストを抑えつつ高機能を実現する、非常に賢い選択肢と言えます。

5. ツール導入はゴールではない。「Webマーケティング」という深い沼
ここまでHubSpotの魅力をお伝えしましたが、ここで残酷な真実をお伝えしなければなりません。 「どんなに優れたツールを導入しても、それだけでは売上は上がらない」ということです。
Webマーケティングの領域は広すぎる
「HubSpotを入れたから、Webマーケティングができるようになる」わけではありません。ツールはあくまで「道具」です。 Webマーケティングには、SEO、コンテンツ制作、広告運用、SNS活用、メールライティング、データ分析、カスタマージャーニー設計など、非常に幅広い知識とスキルが求められます。
「どのタイミングで、どんなメールを送れば響くのか?」 「どんなLPを作れば、コンバージョン(成果)が出るのか?」 「獲得したリードをどうやってランク付け(スコアリング)するのか?」
これらはツールの機能ではなく、「戦略」と「ノウハウ」の問題です。ここを誤解したままツールだけ導入し、「使い方がわからない」「メールを送るネタがない」「成果が出ない」と放置されてしまうケースが後を絶ちません。HubSpotは「多機能」であるがゆえに、「使いこなせない」リスクもあるのです。
正解を自社だけで見つけるのは困難
特に専任のマーケティング担当者がいない中小企業において、ゼロからWebマーケティングの正解を見つけ出すのは至難の業です。学習コストが高く、試行錯誤している間に競合に置いていかれてしまいます。
6. 成果を決めるのは「伴走支援」|プロの力を借りる重要性
HubSpotのような高度なツールを使いこなし、最短距離で成果を出すために最も有効な手段。それは、「導入支援会社」や「マーケティング支援会社」の協力を仰ぐことです。
単なる「設定代行」ではなく「伴走」してもらう
必要なのは、ツールの初期設定だけをしてくれる業者ではありません。 「自社の課題は何か」「誰に何を売るべきか」という戦略設計から入り、HubSpotを使ってそれをどう実現するかを一緒に考え、実行をサポートしてくれる**「伴走支援(パートナーシップ)」**です。
支援会社を入れる3つのメリット
ルールの策定とデータ品質の担保: 「誰が、いつ、どのデータを入力するか」「プロパティ(項目)はどう定義するか」。CRM運用で最も重要なデータ管理のルール作りを、プロの知見に基づいて設計できます。これにより、数年後に「データが汚くて使い物にならない」という事態を防げます。
ベストプラクティスの提供: 「こういう業種なら、こういうメールシナリオが効く」「この機能はこう使うと便利」といった、他社事例に基づいた成功パターン(ベストプラクティス)を自社に適用できます。
社内定着と人材育成: 新しいツールを入れると、現場からは必ず「面倒くさい」「使いにくい」という抵抗が生まれます。支援会社は、社内向けの説明会やマニュアル作成、定着のためのワークショップなどを通じて、組織全体でツールを使えるように導いてくれます。また、担当者にマーケティングのノウハウを教え、最終的には自走できるように育成してくれます。
現代のマーケティングは「総力戦」
ツール(HubSpot)は最強の武器ですが、それを扱う兵士(社員)のスキルと、戦況を指揮する軍師(戦略)が必要です。 支援会社を「外注コスト」と捉えるのではなく、**「ノウハウと時間を買って手に入れる投資」**と捉えてください。結果として、自分たちだけで試行錯誤するよりも、圧倒的に早く、大きな成果(ROI)を得ることができます。

まとめ:HubSpotは「成長の基盤」。プロと共に成果への最短ルートを
HubSpot CRMは、単なる顧客リスト管理ツールではありません。フォーム、メール、LP、チャットボットなどの機能を統合し、顧客一人ひとりに合わせた最適なコミュニケーションを実現する、強力なマーケティングプラットフォームです。
本記事のポイント:
機能の統合性: フォーム、メール、LPなどがCRMと一体化しており、データ活用が容易。
コストパフォーマンス: スモールスタートが可能で、Kintone等との連携で業務全体のコストも最適化できる。
戦略の重要性: ツールは「どう使うか」がすべて。Webマーケティングの広範な知識が必要。
成功の鍵: 自社リソースだけで完結しようとせず、支援会社の「伴走」を活用し、正しいルールと戦略で運用すること。
HubSpotの導入は、貴社のマーケティングを変革する大きな第一歩です。しかし、F1カーを手に入れても、プロのドライバーと整備士がいなければレースには勝てません。
ツールという「最強の車体」を手に入れたなら、ぜひ信頼できるパートナーという「チーム」を組み、ビジネスの成長というゴールを目指してください。それが、HubSpot CRMを最も賢く、効果的に使いこなす唯一の解です。







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