kintoneの「プロセス管理」完全ガイド!ワークフローとの違いから条件分岐、承認設定まで徹底解説
- TOKYO DIGITAL 木戸

- 2025年12月29日
- 読了時間: 9分
更新日:1月18日
社内の申請業務や案件管理において、「今、誰がボールを持っているのかわからない」「承認までの時間がかかりすぎている」といった課題を抱えていませんか? kintone(キントーン)には、こうした業務の流れを可視化し、自動化するための強力な機能「プロセス管理」が標準搭載されています。
しかし、kintoneのプロセス管理は、一般的な「ワークフローシステム」とは少し違った概念を持っており、設定には独自のコツが必要です。 本記事では、kintoneのプロセス管理の基本から、条件分岐や複数人承認といった高度な設定、さらには導入時によくある「差し戻し」や「代理承認」の課題解決策まで、詳細に解説します。

1. kintoneの「プロセス管理」とは? 一般的なワークフローとの違い
まず理解しておきたいのが、kintoneのプロセス管理は「ただの申請承認ツールではない」ということです。
一般的な「ワークフローシステム」は、稟議書などを回覧・承認することに特化したシステムであることが多いです。一方、kintoneのプロセス管理は、「アプリ内のレコード(データ)に対して、今どのような状態(ステータス)にあるかを定義し、そのステータスの担当者を管理する機能」です。(申請プロセスの管理だけではなく、タスクや業務をチームで回していくことが想定されていることが背景にあります。)

アプリ単位で柔軟に設定できる「ステータス管理」
kintoneでは、作成したアプリ(交通費申請、顧客管理、タスク管理など)の一つひとつに対して、個別にプロセス管理(ワークフローの流れなど)を設定できます。
経費精算アプリなら: 「未申請」→「上長承認中」→「経理確認中」→「精算完了」
案件管理アプリなら: 「リード獲得」→「商談中」→「見積提出済」→「受注」→「納品完了」
このように、いわゆる「ハンコをもらう業務」だけでなく、業務全体の進捗状況(ステータス)を管理できるのが大きな特徴です。
プロセス管理を構成する3つの要素

設定を行う上で重要になるのが、以下の3つの用語です。
ステータス(状況): 現在、そのデータがどういう状態か。(例:承認待ち、処理中)
作業者(担当者): そのステータスで「何らかの作業(承認など)」をする人は誰か。
アクション(実行ボタン): 次のステータスに進めるためのボタン。(例:承認する、差し戻す、完了する、などにボタンの名称を設定できます。)
これらの設定を組み合わせることで、「誰が承認したら、次はどのステータスに進むのか」という業務フロー(流れ)を設計していくことができます。
2. 徹底解説①:金額や条件による「フローの分岐」
プロセス管理の醍醐味は、入力されたデータの内容に応じてルートを自動的に切り替える「条件分岐」です。これにより、人間の判断ミスを減らし、スムーズな運用が可能になります。
ケーススタディ:金額による承認ルートの自動判定
例えば、物品購入申請において以下のようなルールがあるとします。
10万円未満: 課長の承認だけでOK
10万円以上: 課長承認の後、さらに部長の承認が必要
kintoneでは、この条件分岐を簡単に設定できます。

設定の仕組み
プロセス管理の設定画面では、同じ「現在のステータス」から複数の「次のステータス」への矢印(アクション)を作ることができます。この時、各アクションが表示されるための「条件」を指定します。
「課長承認」ボタンの設定:
条件式:合計金額 ≧ 100,000
次のステータス:部長承認待ち
「課長承認(決裁)」ボタンの設定:
条件式:合計金額 < 100,000
次のステータス:承認完了
このように設定すると、申請書の金額が5万円の場合は「決裁」ボタンだけが表示され、部長承認のステップをスキップして完了します。逆に15万円の場合は、自動的に部長へ回すボタンが表示されます。 申請者が「今回は部長に見せないといけないかな?」と迷う必要がなくなり、コンプライアンス遵守と業務効率化を両立できます。
3. 徹底解説②:複数人での承認(全員承認か、誰か一人か)
稟議書などでは、「関係者全員の合意が必要」な場合もあれば、急ぎの案件で「マネージャー陣の誰か一人が確認すればOK」という場合もあります。kintoneでは、この「承認の条件」も柔軟に設定可能です。

設定項目:作業者が複数の場合
あるステータス(例:課長承認待ち)の担当者として、Aさん、Bさん、Cさんの3人が指定されている場合、次のプロセスに進むための条件を以下の3パターンから選べます。

A. 全員の実行が必要(AND条件)
3人全員が「承認」ボタンを押して初めて、次のステータスに進みます。
利用シーン: 重要な稟議、合議制の意思決定、各部門の確認が必要な場合。
B. 誰か一人の実行で進む(OR条件)
3人のうち、誰か一人がボタンを押せば、残りの2人は作業不要となり、次のステータスに進みます。
利用シーン: 担当者が不在時の代行承認、チーム内でのタスク消化(誰かが対応すれば完了)、シフト制のサポート対応。
C. 特定の割合以上の実行が必要
これは少し特殊ですが、「設定された人数のうち過半数が承認すれば可決」といった設定も可能です。あまり一般的ではありませんが、多数決が必要なシーンで役立ちます。
この設定を使い分けることで、厳格なセキュリティが必要な業務と、スピード優先の業務のどちらにも対応できるのがkintoneの強みです。
4. kintoneプロセス管理で「できること」まとめ
ここまで解説した内容を含め、kintoneのプロセス管理で実現できることを整理します。
業務の「見える化」: 今、どの案件が、誰のところで止まっているかが一覧画面でひと目でわかります。「あの件どうなってる?」という確認チャットが激減します。
通知の自動化: 自分に承認の順番が回ってくると、kintone上の通知やメール、スマホアプリのプッシュ通知でお知らせが届きます。
履歴の記録(証跡管理): 「いつ、誰が、承認ボタンを押したか」がログとして自動的に記録されます。後から改ざんできないため、内部統制(監査対応)としても有効です。
動的な担当者設定: 申請者が「部署フィールド」で「営業部」を選んだら営業部長に、「開発部」を選んだら開発部長に通知を送る、といった組織構造に合わせた担当者設定が可能です(※アプリ内にユーザー選択フィールド等を用意して連携させる等の工夫で実現します)。
タスクの割り当て: 承認業務だけでなく、例えば「問い合わせ対応」アプリで、未対応の案件をチームメンバーに割り振り、対応完了までステータス管理するといったToDo管理としても利用できます。
5. kintoneプロセス管理で「できないこと」・苦手なこと
非常に便利なプロセス管理ですが、万能ではありません。導入後に「こんなはずじゃなかった」とならないよう、標準機能では難しいポイントも正直にお伝えします。
1. 複雑な条件分岐や並行処理
「A部長とB部長が同時に承認作業を行い、両方が終わったら次に進む」といった単純な並行処理は可能ですが、「条件によってルートが複雑に入り組む」「一度分岐したフローが別々の条件で合流する」といった迷路のようなフロー図を再現するのは苦手です。(画面操作の標準機能では設定できません。)
2. ルートの途中変更
一度申請をスタートした後に、「急遽、今回の案件だけCさんの承認も必要になった」といった場合、進行中のレコードに対して承認ルートを動的に追加・変更することはできません。一度差し戻して、コメントで依頼するなどの運用カバーが必要です。
3. 別アプリの情報を参照した分岐
「顧客管理アプリのランクがAの顧客だから、特別フローに回す」といった、他のアプリのデータを直接参照して条件分岐させることは標準機能ではできません。これを実現するには、ルックアップでデータをコピーしておくか、JavaScriptカスタマイズやプラグインが必要です。
4. 2段階以上の組織階層の自動判定
kintoneの標準機能では、「申請者の上長」を指定することはできますが、「上長のさらに上長」まで自動で辿って設定するのは設定が複雑になりがちです。組織変更のたびにメンテナンス工数がかかる場合があります。
6. よくある検討ポイントと解決策:差し戻し・代理承認
ワークフロー運用で必ず議論になるのが、「差し戻し(却下)」と「代理承認」です。kintoneではこれらをどう実現するのでしょうか。
① 「差し戻し」はどう設定する?
kintoneのプロセス管理には、標準で「差し戻し」という専用ボタンがあるわけではありません。設定として**「前のステータスに戻るアクション」を作る**必要があります。
設定例:
ステータス「承認中」の設定において、「承認する」アクションとは別に、「差し戻す」という名前のアクションを作成します。
この「差し戻す」アクションの実行後のステータスを「申請前(作成中)」や、一つ前の「確認中」に戻すように設定します。
ポイント: どの段階まで戻すか(申請者まで一気に戻すか、一つ前の課長に戻すか)は、設計次第です。多くの企業では、複雑さを避けるために「不備があれば申請者まで戻して再スタート」というルールにすることが多いです。
② 担当者が休みの時の「代理承認」は?
上長が急な病欠や長期休暇に入った場合、承認が止まってしまうリスクがあります。しかし、kintoneには「代理承認ボタン」という機能はありません。 主な解決策は以下の2つです。
システム管理者が介入する: kintoneのアプリ管理権限を持つユーザーは、現在の作業者を強制的に変更することができます。管理者が一時的に作業者を別の人(代理人)に変更して対応します。
最初から「OR承認(誰か一人)」にしておく: 前述の通り、承認者を「課長A」個人にするのではなく、「課長グループ」や「課長と部長」のように複数人を設定しておき、「誰か一人が承認すればOK」という設定にしておくことで、不在時の停滞を防げます。
7. まとめ:まずは「シンプルなフロー」から始めよう
kintoneのプロセス管理は、設定次第で非常に高度なワークフローを構築できますが、最初から複雑な分岐や何段階もの承認ルートを作り込みすぎると、設定ミスが起きやすく、現場も混乱します。
成功の秘訣は、まずはシンプルに始めること。
「申請」→「承認」→「完了」 まずはこの3ステップだけのシンプルなアプリを作成し、kintoneでのステータス管理の便利さを体感してみてください。 紙やExcelでのバケツリレーが解消され、プロセスが見える化されるだけでも、業務効率は劇的に向上します。
もし、「もっと複雑なことがやりたい」「標準機能の限界を超えたい」と感じた場合は、kintoneの豊富なエコシステム(連携プラグインなど)を活用することで、ほとんどの課題は解決可能です。
まずはkintoneの標準機能であるプロセス管理を使い倒して、社内の「承認待ち時間」をゼロにすることから始めてみませんか?






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