kintoneとソラコム温度センサーで安価にIoTシステムを実現 ~1台1万円台から始める、現場のスマート化~

「IoTを使って現場を見える化したい。でも、専用システムを組むと数百万円かかると聞くし、うちには難しいかもしれない」そう感じてIoT導入を見送ってきた企業は、実はとても多いです。
しかしここ数年で、IoTはもう「大企業だけのもの」ではなくなりました。ソラコム(SORACOM)のIoTデバイスと通信SIM、そして多くの企業が既に導入している業務改善プラットフォーム「kintone」を組み合わせれば、1台1万円台のデバイスと、月々数百円〜数千円の通信費で、温度・湿度・位置情報を可視化するIoTシステムを構築できます。
本記事では、TOKYO DIGITALがこれまで提案してきたSORACOM×kintoneのIoTパッケージ構成をもとに、「安価に、素早く、現場に定着するIoT」の作り方を解説します。
この記事でわかること
・ソラコムの主要デバイス・SIMの概要と選び方
・温度・湿度・位置情報を業務に活かす方法
・kintoneとSORACOM Lagoonを組み合わせた可視化の仕組み
・業種別のユースケースと、始めやすい構成イメージ
・ソラコムとデバイス、通信SIMの概要
ソラコムとは
ソラコム(SORACOM)は、IoT向けクラウドプラットフォームを提供している国内発のIoTプラットフォーマーです。特徴は次の3点に集約されます。
IoT専用のセルラー通信SIMを月額数百円〜で利用できる
センサー・カメラ・GPSトラッカーなどのIoTデバイスをIoTストアで購入できる
収集したデータを蓄積・可視化・他システム連携するためのクラウドサービス群が揃っている。つまり、「デバイス」「通信」「クラウド」までを一体で調達できるのがソラコムの最大の魅力です。個別に組み合わせようとすると難しい要素を、ワンストップでそろえられます。

代表的なデバイス「GPSマルチユニット SORACOM Edition」
TOKYO DIGITALのIoTパッケージで中核に据えているのが、このGPSマルチユニット SORACOM Editionです。
項目 内容
価格 約12,100円(スターターキット、SIM付き)
サイズ・重量 約83×49×13.8mm/約63g
通信 LTE-Cat.M1(低消費電力・全国LTEエリア)
バッテリー 内蔵1,500mAh、microUSB充電
内蔵センサー 温度・湿度・加速度
測位 GPS/GLONASS/QZSS
動作温度 -20〜60℃(バッテリー使用時は5〜35℃)
1台に温湿度センサー・加速度センサー・GPSが載って約1万円台。
これがソラコムのIoTソリューションが「安価に始められる」と言われる最大の理由です。
シガーソケット型GPSトラッカー(RT299)や、OBD接続の車載GPSトラッカー(T366)、電池駆動の防塵防水デバイスなど、用途に応じて選べる周辺デバイスもIoTストアに揃っています。
通信SIM(plan-D)の概要
IoTデバイスをネットに繋ぐ通信は、専用のSORACOM IoT SIMを使います。
プラン 月額 通信量 特徴
plan-D(D-300MB) 約330円/月〜 従量課金 少量データのIoTに最適
plan-D(D-500MB) 550円/月〜 従量課金 バランス型
plan-KM1(LTE-M専用) 100円/月〜 従量課金 超省電力デバイス向け
温湿度や位置情報のように送信データが小さいIoT用途では、月々数百円で運用できるケースがほとんどです。従量課金で無駄なコストが発生しにくいのも特徴です。
システム構成図:センサー→通信→SORACOM→kintone

温度・湿度・位置情報の取得と、その応用
ソラコムのGPSマルチユニットは、指定した間隔で温度・湿度・位置情報などを自動送信できます。デフォルトでは10分間隔での定期送信ですが、要件に合わせて数分〜1時間の範囲で調整できます。
このデータを、業務にどう活かすかがIoT活用の要です。ここでは、TOKYO DIGITALが実際に提案しているユースケースを紹介します。

ユースケースイメージ:車両・冷蔵倉庫・農業・工場
1. 車両管理・車両トラッキング
社用車、営業車、配送車の位置情報をリアルタイム把握
走行履歴・稼働率の見える化
現場直行・直帰の証跡管理、日報自動化
加速度センサーで急ブレーキ・急発進を検知して安全運転指導にも活用可能
2. 冷蔵・冷凍倉庫、コールドチェーン
冷蔵庫内・冷凍庫内の温度を常時監視
設定温度を超えたら自動アラート通知
HACCP対応のための温度記録の自動保存
医薬品・ワクチン・生鮮食品輸送での温度証跡
3. 農業・ビニールハウス管理
ハウス内の温度・湿度を遠隔監視
異常時のアラートで作物へのダメージを最小化
生育環境のログを作物ロットと紐付けて品質向上に活用
4. 工場・店舗の環境監視
サーバールーム、機器室、電気室の温度監視
店舗の冷蔵ショーケース、バックヤードの温度管理
加速度センサーで機器の振動を測定して予兆保全に応用
5. 資産・在庫のトラッキング
高額備品や工具の持ち出し管理
物流パレット・返却容器の位置追跡
レンタル資産の稼働状況把握
なぜkintone連携が効くのか
これらのデータは、SORACOM単体でも可視化できます。しかし多くの中小企業では、顧客管理・案件管理・日報・タスク管理はkintoneに集約しているというケースが多いです。
そこで、「センサーデータ×既存の業務データ」をkintone上で一元的に扱えるようにすることで、IoTデータが単なるグラフではなく、業務判断に直結する情報に変わります。
kintone連携をLagoonと組む
ここからが本記事の中心テーマです。SORACOMからkintoneにデータを連携する方法と、SORACOM Lagoonによる可視化を組み合わせた構成について解説します。
全体アーキテクチャ
構成はシンプルにこの5層で整理できます。
Copy[GPSマルチユニット]
↓ LTE-M/4G
[SORACOM SIM]
↓ SORACOM Unified Endpoint
[SORACOM Cloud]
├─ SORACOM Harvest Data(データ蓄積)
├─ SORACOM Lagoon(ダッシュボード)
└─ SORACOM Funk(外部連携)
↓ Webhook / Lambda
[kintone アプリ]
↓
[Kマッププラグイン等でマップ可視化]
各コンポーネントの役割
SORACOM Harvest Data
IoTデバイスから送られてくるデータを蓄積するサービスです。時系列データを保存し、後述のLagoonから参照します。デバイスからのアップロード3,000イベント/日までは無料枠。それ以上は¥0.11/event(参考値)で従量課金。
SORACOM Lagoon
Harvestに溜まったデータをダッシュボードで可視化できるサービスです。温度・湿度・位置情報の推移を折れ線グラフやマップで表示し、閾値を超えたらアラートメールを送るといった簡易的なオペレーション監視を、コードを書かずに構築できます。
現場責任者や店舗マネージャーには、まずLagoonダッシュボードを共有するだけで日々の運用は回ります。
SORACOM Funk
デバイスから来たデータを、AWS Lambdaなどのクラウド関数に転送するサービスです。ここがkintone連携の要になります。
SORACOMからkintoneへの連携方法
kintone連携の実装パターンは、主に次の2つです。
パターンA:SORACOM Funk + AWS Lambda + kintone API
最も自由度の高い構成です。
デバイスからのデータをSORACOM Funkが受ける
FunkがAWS Lambda関数を呼び出す
LambdaがデータをkintoneのREST APIに送信して1レコードとして登録
メリット
データ加工・条件分岐が自由自在
複数kintoneアプリへの振り分けも可能
認証・エラーハンドリングを丁寧に組める
必要な作業
AWSアカウント準備・Lambda関数作成
kintone側でAPIトークン発行・受信用アプリ準備
SORACOM側でFunk有効化・認証情報登録
パターンB:kintone Webhook + サードパーティ連携ツール
簡易的に始めるなら、SORACOM側の外部連携をkintone Webhookに向ける方法もあります。データ加工が少ない場合はこちらの方が構築が早いです。
kintone側の作り込み
kintone側では、次のようなアプリを用意します。
アプリ 用途 主なフィールド
センサーデータ受信アプリ 生データを1レコードずつ受信 日時、デバイスID、温度、湿度、緯度、経度、加速度
機器マスタ センサーと拠点/車両/機器を紐付け デバイスID、設置場所、担当者、閾値
アラート履歴 閾値超過や異常検知のログ 発生日時、デバイス、内容、対応状況
さらに、Kマッププラグインなどの地図表示プラグインを組み合わせれば、kintone上で車両や資産の位置を地図表示できます。既存のkintoneアプリ(案件管理、日報、車両台帳)と紐付ければ、「今どこの車が、どの案件を、どんな温度環境で運んでいるか」まで一気通貫で見える化できます。
LagoonとkintoneをどうLagoonとkintoneをどう使い分けるか
同じデータをLagoonにもkintoneにも流すことで、次のような役割分担ができます。
用途 使うツール
リアルタイムの環境監視・大画面のダッシュボード SORACOM Lagoon
閾値超えのアラート通知 Lagoon or kintone通知/プラグイン
業務データ(案件・顧客・車両台帳)との紐付け kintone
集計・レポート・過去分析 kintone(プラグインやAPI連携)
現場担当者への日常運用画面 Lagoonダッシュボード共有URL
Lagoon=モニタリングビュー/kintone=業務データベースという役割分担で構成すると、開発コストを抑えつつ現場で使える仕組みになります。
参考:スモールスタート構成の費用例
10台のGPSマルチユニット SORACOM Editionで社用車の管理を始める場合の目安です。
項目 単価 数量 概算
GPSマルチユニット(スターターキット) ¥12,100 10 ¥121,000
SIM plan-D(D-300MB) ¥330/月 10 ¥3,300/月
SORACOM Harvest Data 3,000イベント/日 無料枠 - 0円〜
SORACOM Lagoon(Free/Maker) 0〜¥1,980/月 1 0〜¥1,980/月
kintone(スタンダードコース) ¥1,800/user/月 5 ¥9,000/月
Kマップ等のプラグイン ¥5,000〜/月 1 ¥5,000〜/月
初期費用は約12万円、月額運用費は約2万円前後から始められるイメージです。開発費を除いた素の構成なら、専用の車両管理SaaSと同等かそれ以下のコストで、より柔軟な業務連携が可能です。
まとめ
ソラコムのIoTデバイスとkintoneを組み合わせるアプローチは、IoTを「難しい特別なもの」から「業務改善の延長線」に変えるやり方です。
本記事の要点
GPSマルチユニット SORACOM Editionは1台約1万円台で温度・湿度・位置情報が取れる
SIMは月額約330円〜、通信データが小さいIoT用途では十分
SORACOM Harvestでデータ蓄積、Lagoonでダッシュボードを素早く構築
SORACOM Funk+Lambdaでkintoneに業務データとして連携
車両管理、コールドチェーン、農業、工場、店舗など業種を選ばず適用可能
初期十数万円・月2万円前後の水準からスモールスタート可能
IoT導入で失敗しやすいポイントと回避策
「全部やろう」としない:まずは1拠点、1車両、1冷蔵庫から
業務データとつなぐ:ダッシュボードで終わらせず、kintoneの既存アプリに紐付ける
運用担当を決める:アラートが飛んでも見る人がいなければ意味がない
通信・費用構造を把握:従量課金の想定通信量を事前に計算しておく
TOKYO DIGITALでは、このSORACOM×kintoneのIoTパッケージを、「小さく試して、効果が出たら段階的に広げる」方針で導入支援しています。
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